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FAQ 1008960 : ダイナミック動作とスタティック(Dynamic Operation and Static)

一般に存在するものは状態が安定して、いつでも同じように確認できる(スタティック)ものが殆どです。ところが、人間の目は高速に変化するものには追従できません。一般に70Hz以上の変化では違いを認識できないようです。



[ダイナミック動作]
この特性を積極的に利用したのが蛍光灯などの照明やテレビなどで用いられているダイナミックな動作(ダイナミック表示)です。
蛍光灯は商用電源の周波数が50Hzの地区ではその倍の100Hzで点滅を繰り返しています。これは、下のグラフで模式的に示すように、+のピークと-の ピークで明るくなり、0V付近では消えるからです。人間の目には一様に光っているように感じるのは速い変化を認識できないからです。

コーヒーブレーク
人の感覚には個人差があります。また、年齢により変化します。そのため、蛍光灯のちらつきが気になる人もいます。そこで、蛍光体の残光時間を長くすることでちらつきを抑えたものもあります。中には電気を切っても暫くは光っているホタルックのような製品もあります。
最近は商用電源周波数ではなく、20~50kHzでのスイッチングを行なって高い周波数で点灯させるインバータ照明も多く使われてきています。可聴周波数以上の周波数で点灯させるので、ちらつきはなく従来の蛍光灯のような点灯の遅さもありません。


[表示器でのダイナミック動作]
CRT方式のTVでは1本の電子ビームが画面前面の蛍光体を横方向に(走査線と呼ばれる)移動しながら画面を表示させています。通常のTV放送 (SD:Standard definition)では1画面分(フレーム)525本の走査線の半分を約1/60秒で表示しています(これをフィールドと呼び、奇数フィールドと偶数 フィールドで1つの完全な画面を構成します)。



瞬間的に電子ビームが当たっているのは点(上の図で赤く示したところ)だけですが、蛍光体が暫くは光り続ける(ピンクで示したところ)ので、ちらつきが感じられません。(カメラやビデオで撮影すると、暗くなっているところがわかります。)
LCDのTVではCRT方式のような点(ドット)ではなく、横方向の複数のドットが同時に表示されます。これを縦方向に順番に切り替える(ダイナミック に)ことで画面を表示させます。横640ドットで縦が480ラインの画面では、これをスタティックに表示させるには約32万本の信号線が必要です。これを ライン単位でダイナミックに表示させることで、1120本(640本+480本)の信号線で済みます。



TVのようにドットでの表示ではなく、例えば電卓のように決まりきった数字を表示するだけのセグメント形式の表示ではセグメント信号と桁を示す信号の組み 合わせで表示を制御します。左下の例は各桁ごとに表示するものです。この例ではセグメントの駆動に7本の信号線を使用し、桁の選択に4本の合計11本の信 号線を使用します。右下の例では、2桁ずつ表示するもので、セグメントの駆動には14本の信号線使用します。



[ダイナミック表示の制御]
上記のセグメント表示の例について、その制御をタイミング図で示します。まず、1桁目のセグメント表示データをセグメント信号に出力し、その後に1桁目選 択信号を出力します。これで一桁が表示されます。次に、2桁を表示するために、1桁目選択信号を切り、セグメント信号のデータを2桁目のセグメント表示 データに変更します。その後に、2桁目選択信号を出力して2桁目を表示します。このように桁の切り替えの際に選択信号が出力されない期間が存在するのは表 示のにじみをなくすためで、この期間をブランキング期間と呼びます。ブランキング期間はLEDや蛍光表示管では必須ですが、LCD表示ではLCDの表示速 度が遅く、追従できないので必要ありません。



このように、時間ごとに表示する桁を順番に切り替えることで表示することを時分割表示と呼びます。分割の数を増やすと、信号線の数を少なくできますが、表 示している期間が短くなります。このため、表示しているところと表示していないところの差(コントラスト)が低くなります。これを避けるためには、大きな 電流を流して、できるだけ表示を明るくする必要があります。

コーヒーブレーク
  上記の表示タイミングは考え方としてはいいのですが、実際の信号波形としては注意が必要です。セグメント信号を正論理とすると、LEDの場合にはカソード コモン型を使用して、桁選択信号(コモン信号)は負論理にする必要があります。つまり、セグメント信号からコモン信号に電流が流れ点灯します。(下の図)


 蛍光表示管では、セグメント(光る部分)は陽極になります。桁信号になるのが、グリッド電極で、電流はカソード(陰極)とセグメントの間を流れます。電流 が流れるには陽極とグリッド電極が共に陰極に対してプラスになる必要があります。両方がプラスになると陰極のヒータから電子が出て、セグメント電極に向か い、そこで発光します。


LCD(液晶)の場合には、電極の間に電圧がかかれば、液晶の配列がねじれて光の透過のしかたが変化します。LEDでは逆方向には電流が流れないのです が、LCDではかける電圧の極性が変わっても同様の変化があるので、非選択状態で注意が必要です。そのために、フル振幅の電圧以外に中間的な電圧を加えら れるようにしておきます。表示させる場合にはフル振幅の電圧がかかり、表示しない場合には中間的な電圧がかかるようにします。このように、LCDをドライ ブするには2つの電圧では不足するため、LCDを通常のポートを使ってドライブすることは困難です。
また、電圧をかける方向をいつも同じではなく、逆転させる必要もあります。駆動波形の例を以下に示します。差分電圧で赤く示された部分が表示される部分です。

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