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FAQ 1008997 : 半導体デバイスの動作原理は?

P形とN形の半導体を接合すると、接合部分が中性の空乏層(depletion layer)という安定領域になります。
この両端に、P形側に+、N形側に-となるよう電池を接続すると、空乏層がせまくなって、キャリアが双方で移動できるようになり、電流が流れます。逆に、P形側に-、N形側に+となるよう電池を接続すると、空乏層が広くなって、キャリアが双方で移動できず、電流が流れません。



これがダイオードの原理で、整流作用です。ダイオードというのは、Di-electrode(2種類の電気の通り道)から命名されています。



空乏層の両端の静電ポテンシャルの差を拡散電位(内蔵電位)と呼び、ここに不純物のエネルギ準位を差し引いた以上の順バイアス(順方向降下電圧)がかかると、電流が流れます。シリコン・ダイオードでは約0.6~0.7V、ショットキィ・バリア・ダイオードで約0.2V、発光ダイオードでは材料によって1~5V程度とさまざまです。
ただし逆方向に、空乏層を突き抜けるだけの電圧をかけると、電流が流れるようになります。この電圧は降伏電圧と呼ばれ、電流に依存せず一定(安定)になります。この電圧を定電圧として利用するのがツェナー・ダイオードです。したがって、ツェナー・ダイオードは対グランド間に逆方向に設置して、信号線の一定電圧以上のノイズを吸収するような利用をします。



次に、P形とN形の半導体を交互に3つ接合すると、ダイオードを2つ向かい合わせ、または背中合わせにした構造になるので、両端のC-E間には電流が流れません。これはトランジスタの構造です。トランジスタとは、Transfer Resisterから命名されています。また、キャリアが正孔と電子の両方なので、バイポーラ・トランジスタと呼ばれます。バイポーラとは、2つ(Bi)の極性(polar=polarity)にちなんでいます。



真ん中のベースの層は、ひじょうに薄くなっていて、キャリアと逆極性の電荷を加えると、容易に両端のC-E間に電流が流れるようになります。このとき、能動状態にするために印加する電圧をバイアスと呼びます。
ベース電流IBの変化が、C-E間のコレクタ電流ICを大きく変化させます。これがバイポーラ・トランジスタの電流増幅作用です。なお、エミッタEを共通として接地(グランド接続)したときの、電流の増幅率(IC/IB)をhFE(FE: Forward, grounded Emitter)で表します(昔はβを使っていましたが、現在はhパラメータのひとつとして統一)。



接合形トランジスタの例を紹介しましたが、現在では生産性や安定性などの点で、ICのようにシリコン基板上に順次拡散を繰り返してP形とN形を形成するプレーナ形が主流です。



バイポーラに対して、ユニポーラ(1極性)のトランジスタもあります。つまり、キャリアが正孔か電子のいずれかのトランジスタです。このタイプのトランジスタは、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)と呼ばれ、接合形(J-FET)や絶縁形(MIS)などがあります。
接合形FETでは、ゲートGで発生する電界によって空乏層の大きさが変化してチャネル(通り道)の幅を変え、両端のソースSとドレインD間の電流が制御されます。電力用に向いていますが、構造上、集積回路には不向きです。



絶縁形FETでは、ゲート電極が半導体に直接接続されるのではなく、酸化膜(絶縁膜)をはさんで配置されます。このため、ゲートGには電流が流れず、またゲートと対向するチャネル部分が空乏層となって、S-D間は導通しません。ゲート電位による酸化膜の電界によって、チャネルに電荷が蓄積されると、S-D間が導通します。
この構造は、電極と半導体で絶縁体をはさんでいるため、MIS(Metal Insulator Semiconductor)構造と呼ばれ、絶縁体が酸化膜の場合には、MOS(Metal Oxide Semiconductor)といいます。したがって、このタイプのトランジスタを一般に、MOS FETまたはMOSトランジスタと呼びます。なお、チャネルが導通する極性によって、PチャネルMOS(PMOS)とNチャネルMOS(NMOS)があります。CMOS(Complementary MOS)というのは、PMOSとNMOSを組み合わせたものです。





チャネル部分について、p-pまたはn-nの間隔を微細化の尺度となるチャネル長と呼びます。また、チャネルの奥行きの長さは、チャネル幅です。

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