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FAQ 1009007 : フレミングの法則(Fleming's rule)

2極真空管を発明したイギリスのジョン・アンブローズ・フレミングが考案した、電流と磁界、運動(力)の方向の定義で、「左手の法則」と「右手の法則」があります。

(1) フレミングの左手の法則
電子の電荷qは、電界Eや磁界Bからローレンツ力(F=q(Ev×B))という力を受けます(vは速度(velocity)、×はベクトル積)。この式から、電荷qが運動する(電流になる)と、磁界Bからローレンツ力を受けることが分かります。「左手の法則」は、このローレンツ力の方向を示します。左手の親指と人差し指、中指を互いに直角に伸ばすと、親指から順に「力(F)-磁界(B)-電流(I)」の方向となります。「FBI」と覚えれば、分かりやすいですね。



これは、磁界中で電流が受ける力の向きを示し、モータ(電動機)の回転原理に応用されています。
また、テレビなどのブラウン管にも応用され、水平方向と垂直方向の偏向コイルによる電磁石で強磁界を縦横に制御して、電子ビーム(電子の流れ)を走査線上の蛍光体に順次当てています。
MRセンサ(磁気抵抗素子)では、パーマロイやニッケル・コバルト合金の強磁性体の薄膜を形成し、周囲の微弱な磁界の変化の影響で電流の流れが変わって、抵抗値が変化することを利用しており、非接触での回転数計測や位置検出(携帯電話、ノートPCの開閉検出など)、給湯器やガス・メータなどの流量検出などに応用されています。

では、携帯端末のような小型機器を磁石で別装置の金属筐体に固定する場合、電流が磁界の影響で流れが変わり、誤動作するでしょうか。この場合は、ブラウン管の偏向ヨークのように、N極とS極の間を電子が通過するのではなく、小型機器の外部の磁石からのもれ磁束が回路を横切るだけですから、影響はほとんどないと考えられます。たとえばブラウン管の例では、テレビの設置方向によって、地球の磁気の影響で、色が少しにじむことがあるくらいです。でも、強磁界を発生する機器をテレビの上に置くと、その周辺の画面の色相が変わってしまいます。強力な磁石の近くで微弱電流を扱うなど、影響がある場合、必要に応じて磁気シールドなどの対策をしてください。
これは、回路電流自体が発生する磁界についても言えます。導線に電流が流れると、その向きに右ネジが進むように回転するネジと同じ向き(右手の親指を電流の向きとしたときに、握った他の指の向き)に回転磁界が発生します。これは、電流の単位アンペアの語源になった、フランスのアンドレ・マリー・アンペールが発見した「アンペールの法則(右ねじの法則)」です。
なお、コイルに電流が流れる場合は「右ねじの法則」による磁界がコイルの筒の向きに発生するので、コイルの中では、電流の向きを右ネジの回転の向きとしたときの、右ネジが進む方向に磁界が発生します。



電流から半径rだけ離れた点での磁場の強さはH=I/2rで表されますが、大電流でない限り、他の導体に流れる電流に影響を及ぼすほどの強さではありません。
ただし、交流成分があって電流値が時間とともに変化する場合、これによって発生する磁束の変化で電磁誘導が起こり、他の回路に影響を与えます。

(2) フレミングの右手の法則
磁界中で導体が移動すると、導体内に起電力を生じて、電流が流れます。「右手の法則」は、この電流の方向を示します。「左手の法則」と同様に、右手の親指と人差し指、中指を互いに直角に伸ばすと、親指から順に「力(F)-磁界(B)-電流(I)」の方向となります。ここで言う「力」は、力の働きによる移動(運動)の方向を表します。



これは、磁界中で導体に流れる電流の向きを示し、ジェネレータ(発電機)の発電原理に応用されています。
gather right and generate(右と発電をまとめる)」などと覚えれば、「左手の法則」と区別しやすいですね。

では、地球は磁気を帯びていますが、車や飛行機などの移動体に搭載している電気回路は、影響を受けて誤動作するでしょうか。地磁気は微弱ですし、たとえロケットでも電子の速度(抵抗がなければ、光と同じ30万km/s)には遠く及びませんので、ほとんど影響はないと言えます。

【ティー・ブレイク】
磁気ネックレスなどで、磁気の強さ(磁束密度B)を「ガウス」で表していますが、現在使用されているSI単位系では「テスラ:T」(=104ガウス)となっています。「テスラ」を使うと、0が4つも減って宣伝インパクトが弱くなるので、「ガウス」にこだわっているのでしょうか。
なお、磁束の単位はウェーバ(Wb)です(T=Wb/m2)。
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