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FAQ 1008956 : プルアップ/プルダウン(Pull-up/Pull-down)

ディジタル信号線の処理として、電源側に接続することをプルアップ、グランド側に接続することをプルダウンといいます。プルアップ/プルダウンには、電源やグランドに直接接続する場合と、抵抗を介して接続する場合があります。

(1) 直接接続
直接接続するのは、入力専用端子の入力レベルをハイかロウに固定する場合です。抵抗を介すると、部品が増えるうえ、信号ノイズを拾う恐れがあるので、一般には直接接続をします。



ただし高信頼性システムなどでは、内部劣化で入力が電源やグランドとショート状態になることを想定すると、システム全体のダウンを避けるためには、抵抗を介しておいた方がいいと言えます。したがって、入力固定の場合の抵抗の有無は、設計品質のターゲットをどこまでにするかで判断すべきです。



(2) 抵抗接続
一般に抵抗を介するのは、2つのケースがあります。
ひとつは、入出力兼用端子で、出力になる可能性がある入力レベルを前述のようにハイかロウに固定する場合です。この場合、電源やグランドに直接接続すると、出力時に電源/グランドとショート状態になるため、制限抵抗を挿入します。プログラムで意図的に出力に設定しなくても、ノイズによって出力になってしまうことを想定すると、抵抗を挿入することが望ましいといえます。



もうひとつのケースとして、入力レベルが規定に満たない場合や、信号線のインピーダンスを低減して信号ノイズや反射波を吸収したり、立ち上がり/立ち下がりを俊敏にする目的で、プルアップ/プルダウン抵抗を設置することがあります。特に装置間をケーブルで接続する規格では、ターミネータ(終端抵抗)が定義されていることがあります。



【ティー・ブレイク】
MOS同士の接続では、電圧レベルがマッチングしないということはあまりありませんが、MOSが登場したころには、TTLとMOSを接続することがありました。このとき、TTL出力とMOS入力の接続では、ハイ・レベルを満足することができず、プルアップで対処することがありました。


なお、プルアップ抵抗とプルダウン抵抗の両方を設置すると、抵抗分割で中間電位の入力になりやすいので、一般的なMOSデバイスの入力では、必要に応じてプルアップ抵抗だけを設置します。



ハイ・レベルとロウ・レベルをともに改善するには、バッファの挿入が効果的ですが、遅延が許容されるかどうかを確認する必要があります。

(3) 抵抗値
では、プルアップの抵抗値は、どのように設定すればいいでしょうか。
インタフェース規格で定義されている場合は、それに従います。
一般には数kΩ~数十kΩ程度の抵抗が使用され、あまり高抵抗では存在しないに等しいですし、かえってノイズを拾う要因となってしまいます。

(a) 入力の固定
MOSの入力レベルを固定する場合は、負荷電流が入力リーク電流となります。



たとえば、VDD=5VでILIH=+5μA, ILIL=-5μAの場合、r1=r2=5/(5×10-6)=1MΩとなります。



VIH=0.7VDD, VIL=0.3VDDだとすると、VDD=5Vでr1=r2=1MΩの場合には、上図の式より、R1=R2=750kΩとなります。つまり、これらの値を越えると、プルアップ側やプルダウン側の電位差が大きくなって、ハイ・レベルやロウ・レベルを確保できず、中間電位となってしまいます。

(b) 入力信号の処理
MOSデバイスの入力信号では、プルダウンは行われず、プルアップが一般的ですので、プルアップについて説明します。

信号の補正をする場合は、反転出力(プルアップではロウ・レベル、プルダウンではハイ・レベル)で抵抗に電流が流れるので、消費電流を低減するには、入力特性を満足する範囲で、ある程度の高抵抗に設定することが望まれます。



ただし、出力容量と入力容量、配線の浮遊容量があるので、抵抗が大きいとRCの時定数で波形がなまることも考慮する必要があります。



次に、信号の補正をする場合の下限値は、おもに出力デバイスのドライブ能力で決まります。
ディジタル出力は、ハイ・レベルVOHの最小値とロウ・レベルVOLの最大値が、それぞれドライブ電流IOH, IOLを条件として定義されます。
低抵抗では、プルアップでロウ・レベルが上昇し、プルダウンでハイ・レベルが下降します。このため、中間電位出力になってしまったり、ドライブ能力を越えた電流で劣化を促進させてしまったりすることになります。
たとえば、5V動作時にIOL=5mAでVOL=MAX.0.5Vという出力を5V電源にプルアップする場合を考えましょう。抵抗値の下限は、(VDD-VOL)/IOL=(5-0.5)/0.005=900(Ω)となります。

なお、プルアップ抵抗を内蔵しているデバイスをドライブする場合、外部にプルアップ抵抗を設置すると、抵抗の並列接続で抵抗値が小さくなるので、注意する必要があります。

また、動作電圧が異なるデバイスがあると、高い方の電源電圧にプルアップすると、低い動作電圧のデバイスの絶対最大定格を越えたり、電流が回り込んだりして、デバイスや電源装置の破壊の原因となります。したがって、低い方の電源電圧にプルアップする必要があります。

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