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FAQ 1008996 : オームの法則(Ohm's Law)

ドイツのゲオルク・ジーモン・オームが発表した、電圧と電流の関係を表した法則です。電気工学で最も有名な法則のひとつで、エジソンの発明にもよく利用されました。
ある材料の両端の電圧をE(V)、その両端間の電気抵抗をR(Ω)、そこに流れる電流をI(A)とすると、オームの法則の関係式は次のとおりです。

E=IR
I=E/R
R=E/I




これらの式から分かるように、電流が一定であれば、電圧は抵抗に比例します。これを利用すれば、直列抵抗の両端の電圧は、次のように算出できます。

E1=E・R1/(R1+R2)
E2=E・R2/(R1+R2)




これを分圧と呼びます。これより、全体の電圧は、次のように算出できます。

E=E1+E2=I・R1+I・R2=I・(R1+R2)

R=E/Iなので、合成抵抗は次のとおりです。

R=R1+R2

なお、全体の電圧が各電圧降下の総和になるという定理を「キルヒホッフの第二法則」(電圧則:KVL)と呼びます。これは、後述の第一法則とともに、ロシアのグスターヴ・キルヒホッフが発見したものです。

また、電圧が一定であれば、電流は抵抗に反比例します。これを利用すれば、並列抵抗に流れる電流は、次のように算出できます。

I1=E/R1
I2=E/R2




これを分流と呼びます。これより、全体の電流は、次のように算出できます。

I=I1+I2=E(R1+R2)/R1R2

R=E/Iなので、合成抵抗は次のとおりです。

R=R1R2/(R1+R2)

このことは、次の式からも検証できます。

I=E/R=E/R1+E/R2 これをEで除算する
1/R=1/R1+1/R2=(R1+R2)/R1R2
R=R1R2/(R1+R2)

なお、3つ以上の抵抗の並列接続では、合成抵抗の逆数が、次のようにすべての逆数の和になります。

1/R=1/R1+1/R2+1/R3+・・・

なお、分流があっても、流入電流の総和と流出電流の総和が等しいという定理を「キルヒホッフの第一法則」(電流則:KCL)と呼びます。

ここで、抵抗分割による分圧で、負荷に電圧を供給することを考えて見ましょう。
負荷がなければ、先に述べたとおり、E1=E・R1/(R1+R2)となります。
でも、負荷を接続すると、負荷電流も流れるため、R1と負荷抵抗RLが並列接続でR0=R1RL/(R1+RL)となります。
つまり、R2とR0の直列接続となり、このように電源と抵抗の直列接続で、回路を等価変換することを「鳳(ほう)テブナンの定理」と呼びます。



並列接続のため、負荷に供給される電圧は、次のようになります。

E1=E・(R1RL/(R1+RL))/( R1RL/(R1+RL)+R2)=E・R1RL/(R1RL+R2(R1+RL))=E・R1/(R1+R2(R1/RL+1))

ここで、RLがほとんど電流の流れない高抵抗であれば、R1/RL≒0となり、R1とR2の分圧でE1が得られます。
でも、RLの抵抗が小さいほど、E1が低下することになります。

なお「オームの法則」は、あくまでも抵抗に電流が流れた場合に、その両端の電位差(電圧降下)を表します。E=IRなので、電流が流れない(I=0)ときには、電位差がありません。つまり、次図のようにRの一端がオープン状態では、V2=V1となります。これに負荷が接続されると、Rと負荷の直列抵抗となり、負荷に応じてV2が変化します。



「オームの法則」は簡単な関係式ですが、当然、半導体デバイスにも、この法則が適用されます。デバイスの内部抵抗は、電流と電圧の規格から算出できます。また、外部にプルアップ抵抗を接続する場合には、出力のドライブ能力(電流と電圧の規格)から、抵抗の最小値が算出できます。
ただし、半導体の抵抗は一定ではなく、印加電圧によって変化します。このことは、PN接合で構成されるダイオードのV-I特性からお分かりいただけると思います(抵抗が一定なら直線グラフになる)。

【ティー・ブレイク1】
直列抵抗の合成は和、並列抵抗の合成の逆数は各逆数の和となることを紹介しましたが、コンデンサの容量については、逆の関係になります。つまり、次のとおりです。

直列容量: 1/C=1/C1+1/C2+1/C3+・・・
並列容量: C=C1+C2+C3+・・・

これは、コンデンサに蓄えられる電荷QがQ=CVで表されるため、V=(1/C)・Qとなり、E=IRと対比して、Rが1/Cに置き換えられるためです。これは、抵抗とコンデンサそれぞれの構造的な特性によるものです。



【ティー・ブレイク2】
電気抵抗の逆数で、電気の伝わりやすさの表現があり、実部と虚部、合成部分について、それぞれ次のように定義されています。

  単位 実部 虚部 合成部
抵抗 オーム(Ω) レジスタンス:R リアクタンス:X インピーダンス:Z
伝わりやすさ(1/抵抗) ジーメンス(S) コンダクタンス:G サセプタンス:B アドミタンス:Y

 

MOS FETでは、アドミタンスで伝達特性を表します。
なお、時間の秒を表す単位は"s"(小文字)または"sec"です。ジーメンスは大文字の"S"で表しますので、混同しないよう、ご注意ください。

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