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FAQ 1008863 : トレラント(Tolerant)

障害に対応して、システムを円滑に運用するしくみのことです。たとえば、「フォールト・トレラント」とか「5Vトレラント」というしくみがあります。

フォールト・トレラントというのは、システムに障害が発生しても、停止させずに継続運転ができるようにすることです。
コンピュータ・システムの例では、電源ユニットやRAIDのハード・ディスクなどのように二重化しておいて切り替えたり、ハード・ディスクやメモリなどのデータ・エラーをECCなどの技術でエラー訂正したりするしくみがあります。



また、5Vトレラントというのは、電源電圧の異なる半導体デバイス(この場合、5Vデバイス)との接続を可能にする内部I/Oバッファの特性のことです。
たとえば通常の3.3V動作デバイスでは、入力の絶対最大定格の最大値が「3.3V+α」なので、5Vデバイスからのハイ・レベル入力は、これを越えるため許容できません。
出力についても最大値が「3.3V-β」なので、これを入力する5VデバイスがCMOSなら、入力ハイ・レベルに満たないため許容できません(TTLではVIH=2Vなので問題ありません)。



また、5V電源へのプルアップ抵抗で、3.3V動作デバイスの通常のCMOS出力を引き上げようとすると、3.3Vバッファの出力に約5Vが印加され、絶対最大定格を越えるため許容できません。



そこで、3.3V動作デバイスの入出力に中耐圧のI/Oバッファを使用することにより、信頼性の問題を回避できます。
ただし、「CMOS出力バッファ」の場合、外部で5Vにプルアップしても、出力電圧を十分に引き上げることができない可能性があります。これは、ハイ・レベル出力(3.3V電源に接続されているPチャネル・トランジスタがON)の電圧が、双方の電源電圧差を出力Pチャネルのオン抵抗(出力インピーダンス:電圧/電流比)とプルアップ抵抗で分割した値となるためです。



たとえば、プルアップ抵抗R=1kΩで、Pチャネルのオン抵抗ROH=500Ωだとすると、5Vバッファの入力電圧は次のとおりです。
VIH5=3.3+ (5-3.3) x0.5/ (0.5+1) =3.9 (V)
ハイ・レベル入力電圧VIH5=0.8VDD(min.)の規格であれば、VDD=5Vのときに4.0V以上の入力が必要となり、この場合にはインタフェースできないことになります。
中耐圧CMOSバッファの出力を使用する場合は、出力端子とプルアップ抵抗の間に直列抵抗を挿入してください。



前述の例で、r=200Ωの抵抗を挿入すると、5Vバッファの入力電圧は次のようになります。
VIH5=3.3+ (5-3.3) x (0.5+0.2) / (0.5+0.2+1) =4.0 (V)
これで、理論的にはインタフェースできることになります。ただし、実際にはノイズ・マージンや、算出できる出力インピーダンスが最大値であることを考慮する必要があります。
また、ロウ・レベル出力についても確認が必要です。



前述の例で、出力Nチャネルのオン抵抗ROL=100Ωだとすると、5Vバッファの入力電圧は次のようになります。
VIL5=5x (0.1+0.2) / (0.1+0.2+1) =1.2 (V)
ロウ・レベル入力電圧VIL5=0.3VDD(max.)の規格であれば、VDD=5Vのときに1.5V以下の入力でよいことになり、この場合にはインタフェースできます。もし、TTLレベルの0.8V以下の入力が必要であれば、インタフェースできないことになります。
プルアップ抵抗値Rが小さければハイ・レベルに余裕ができ、大きければロウ・レベルに余裕ができます。また、直列抵抗は遅延の要因になります。これらの点も含めて、挿入抵抗値rの検討が必要です。
ただし、適正化を図った設計でも、電流がプルアップ抵抗に常時流れ、しかもそれが低抵抗でなければならないので、CMOS出力のプルアップはお勧めできません。
設計を容易にするため、通常は5V耐圧や中耐圧の「Nチャネル・オープン・ドレイン・バッファ」を出力に使用します。この場合は、外部で5Vにプルアップするだけで済みます。



5V動作デバイスの入力バッファに内部プルアップ機能があれば、それも利用可能で、デバイス間の外部部品は不要になります。

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